診療内容
糖尿病網膜症
糖尿病の合併症「糖尿病網膜症」
糖尿病網膜症とは、糖尿病によって網膜の血管が傷つき、視力低下などが現れる病気です。日本人の失明原因としては緑内障に次ぐ第2位となっています。
糖尿病を発症してから10年経過した人では、50~60%に糖尿病網膜症があるといわれています。失明を避けるた めには、内科治療で血糖コントロールをしっかり行いながら、定期的に眼科を受診し、糖尿病網膜症の進行を見逃さないことが重要です。
糖尿病網膜症の進行について
糖尿病網膜症は、進行によって3段階に分けられます。
これらの三段階がどのくらいのスピードで進むかは、人によって違います。
単純網膜症から増殖前網膜症の段階ではほとんど自覚症状がないため、初期の段階で患者様が眼の異常に気づくことは困難です。糖尿病の診断を受けた方は、症状がなくても、眼科で定期的な検査を受けることが大切です。
〈初期〉単純網膜症
●自覚症状
ありません。
●眼底の変化
血管の所々に障害が現れ始めます。
毛細血管の一部がこぶのように腫れたり(毛細血管瘤)、小規模な出血が起きます。
血液中の血漿成分が染み出してつくる硬性白斑などが現れます。
〈中期〉増殖前網膜症
●自覚症状
自覚症状はない方が多いです。あっても、かすみ目程度です。
●眼底の変化
血流が悪い部分の細胞が変化してシミのように見える軟性白斑、血流が途絶えてしまう血管閉塞、静脈が異常に腫れあがる静脈異常、血管から染み出た血液成分が網膜内に溜まり網膜がむくんでしまう網膜浮腫などが起きます。
〈末期〉増殖網膜症
●自覚症状
飛蚊症や視野欠損、視力低下、ものがぶれて見える、などが現れます。
●眼底の変化
新生血管が網膜の表面や硝子体に伸びてきます。
新生血管はもろいため、硝子体出血や網膜剥離、増殖膜といった深刻な合併症を起こします。
放置すれば失明に至る場合もあります。
糖尿病網膜症の治療
糖尿病網膜症は、症状が進行するほど治療が困難になります。
当院では、糖尿病網膜症の進行抑制を目的とした硝子体注射、レーザー治療を積極的に行っております。
糖尿病網膜症
糖尿病が引き起こす目の病気
糖尿病網膜症以外にも、糖尿病によって引き起こされる目の病気があります。
糖尿病の方は、これらの病気にも注意して経過観察していく必要があります。
糖尿病黄斑浮腫
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黄斑とは、網膜の中でも最も視力の鋭敏な部分です。
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糖尿病が原因で、黄斑がむくんでしまい、ものが見えづらくなります。
血管新生緑内障
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新生血管が眼球の虹彩周辺まで到達することで、眼圧が上昇し、視神経が圧迫され、緑内障を併発します。
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通常の緑内障よりも治療が困難で、失明に至る危険性があります。